さまざまな企業が導入を進めているチャットボット。国が自治体への導入を推進しているツールでもあり、今後さらに導入する企業や自治体が増えていくと予想されています。
本記事では、導入前に知っておきたいチャットボットの種類や仕組み、導入事例についてまとめました。チャットボットのトレンドや今後の展望も解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
チャットボットとは?

チャットボットは、チャット上でボットが会話するプログラムのことです。人に代わって問い合わせ対応や情報発信などを遂行できるため、人手不足を解消する手段として、多くの企業や自治体が導入しています。
その歴史は古く、実用化のきっかけと言われているのが1996年に開発された「ELIZA(イライザ)」です。その後、2010年代にはiPhoneの「Siri」が誕生し、チャットボットが身近な存在になりました。
チャットボットと聞くと、AIを連想する方も多いのではないでしょうか。
チャットボットにはAIが搭載されているツールもあり、いわばAIが「頭脳」でチャットボットは「表層」というイメージです。AI搭載のチャットボットの場合、チャットボットはAIと利用者をつなぐ存在だと言えます。
ChatGPTと従来のチャットボットの違い
2020年に公開されたChatGPTも、チャットボットの一種です。ChatGPTは、インターネット上にある大量のテキストデータを学習することで、さまざまな質問に答えられるようになりました。
ChatGPTと従来のチャットボットの大きな違いは「回答を提示する仕組み」です。
従来のチャットボットは「学習したデータから答えを探してそのまま提示」する一方で、ChatGPTは「学習したデータから答えを創造して提示」します。

回答を提示する仕組みの違いに加えて、回答の信頼性と得意分野も異なります。
| ChatGPT | 従来のチャットボット | |
| 仕組み | 質問されたときに生成した回答を提示する | 事前に登録した回答を提示する |
| 回答の信頼性 | 回答内容はその時々で変わる | 回答内容は常に同じ |
| 得意分野 | アイデア出しや文章生成、会話 | 問い合わせ対応 |
ChatGPTの場合、質問のたびに回答を生成するので、同じ質問をしても同じ回答が来るわけではありません。毎回違う内容を返してくれるため、アイデア出しや文章生成などの用途に向いています。また、チャット上での何気ない会話や相談といった用途で使うことも可能です。
従来のチャットボットは、事前に登録した回答を提示するため、回答内容をコントロールしたい問い合わせ対応に向いています。
ChatGPTと従来のチャットボットの違いは、下記記事で詳しく解説しています。
| 【合わせて読みたい】 ・ChatGPTと従来のチャットボットの違いは?連携して使うメリットも解説 |
【機能別】チャットボットの種類

チャットボットは、機能で分けると4つの種類があります。
| 種類 | できること |
| FAQ型チャットボット | 寄せられた質問に回答できる |
| 処理代行型チャットボット | 会話をもとにシステム処理をおこなえる |
| 配信型チャットボット | 情報を発信する |
| 雑談型チャットボット | 何気ない会話ができる |
問い合わせ対応を任せたいのであれば「FAQ型チャットボット」を、予約などの手続きを自動化したいのであれば「処理代行型チャットボット」を選びます。
さらに、チャットボットは「AIの有無」や「会話の仕組み」でも種類が分かれるので、まずはどのようなチャットボットがあるか確認しておきましょう。
| 【合わせて読みたい】 ・どの種類のチャットボットを選ぶ?機能や仕組み別での特徴や選び方を解説 |
チャットボットが会話する仕組み

チャットボットが会話できる仕組みは、AIの有無によって異なります。
AI非搭載のチャットボットの仕組み

AI非搭載のチャットボットは「Aという質問にはBと答える」というルール(シナリオ)を事前に登録することで会話できる仕組みです。
ユーザーが質問文を入力するのではなく、ボットが提示した選択肢を選んでもらい回答に誘導します。
AI搭載チャットボットの仕組み

AI搭載のチャットボットは、ユーザーが入力した質問内容をAIが分析し、事前に登録したFAQをもとに適切だと思われる回答を提示する仕組みです。
特徴は、上記の画像のように「無料トライアルはできますか?」という質問だけでなく「POCできる?」「お試し版ある?」という別の言い回しの質問にも対応できるところ。AIは会話を通して学習するため、使えば使うほど応答精度が高まります。
| 【合わせて読みたい】 ・チャットボットの仕組みとは?|AIの有無の違いをわかりやすく解説 |
チャットボットのメリット・デメリット

チャットボットには、メリットとデメリットがそれぞれあります。
チャットボットのメリット
- 問い合わせ業務にかかるコストを削減できる
- CSや社内問い合わせ業務の負担を軽減できる
- 24時間365日問い合わせに対応できる
- ユーザーが気軽に問い合わせられる
- データの蓄積と利活用ができる
チャットボットを問い合わせ対応に活用すれば、人が対応する問い合わせはチャットボットが答えられなかった内容のみです。電話やメールでの問い合わせの件数が減ることで「問い合わせ対応にかかる人件費の削減」や「問い合わせ業務をおこなうスタッフの負担軽減」につながります。
また、チャットボットなら、対応可能な時間や曜日に制限がありません。ユーザーは24時間365日いつでも問い合わせられるうえ「電話で聞くほどではない」という内容でも気軽に質問できるようになります。電話やメールよりもさまざまな問い合わせが寄せられる傾向にあるため、その履歴を分析して利用者のニーズを探れます。
チャットボットのデメリット
- 導入・運用に時間と手間がかかるものもある
- 運用にリソースを割ける社員が必要になる
- 問い合わせ内容によっては有人での対応が必要になる
- 複数の質問に対して一度で答えられない
チャットボットは、導入や運用に時間がかかるケースもあります。ツールによっては、運用開始までに半年以上かかる場合も少なくありません。
また、チャットボットの導入後は「利用状況の分析」や「FAQの追加・修正」をおこなう社員のほか、チャットボットでは答えられなかった問い合わせに対応する人材も確保しておく必要があります。
加えて、チャットボットは一問一答形式で会話を進めるツールなので、複数の質問に対して一度に答えられません。ユーザーにとっては一つずつ質問するのがストレスになりかねないため「問い合わせたい内容がいくつもある人には、電話での問い合わせをすすめる」といった工夫が大切です。
| 【合わせて読みたい】 ・チャットボット5つのメリットと4つのデメリット|導入企業の事例も紹介 |
事例で見るチャットボットの使い方
チャットボットの具体的な使い方を、事例をもとにして紹介します。
- 社内問い合わせ対応 – キンコーズ・ジャパン株式会社様
- 店舗運営の効率化 – 島村楽器株式会社様
- 顧客からの問い合わせ対応支援と社員教育 – 株式会社稲葉製作所様
- 住民から寄せられる問い合わせへの対応 – 沖縄県沖縄市
社内問い合わせ対応 – キンコーズ・ジャパン株式会社様
まずは、社内問い合わせ対応にチャットボットを使った事例です。
キンコーズ・ジャパン株式会社様は、800人近くの従業員からITヘルプデスクへ電話での問い合わせが寄せられており、本来の業務の妨げになっていました。
チャットボットを導入すると、社員からITヘルプデスクへ寄せられる問い合わせは減少。ITヘルプデスク社員の負担軽減に成功し、問い合わせる側の社員からは「チャットボットのおかげで、知りたい情報をすぐに見つけられるようになった」という声が上がっています。
>>ITヘルプデスクへの社内問い合わせを50%削減。問い合わせ先を一本化し対応効率の向上に成功 – キンコーズ・ジャパン株式会社 様
店舗運営の効率化 – 島村楽器株式会社様
店舗運営の効率化にも、チャットボットが役立ちます。
島村楽器株式会社様では、新サービスのリリースに伴い、店舗から本社への問い合わせ電話やメールが増えているという課題がありました。本社の業務時間外には回答できず、店舗での業務が止まってしまうこともあったそうです。
チャットボットに情報を集約すると、店舗スタッフはチャットボットを使って疑問を解消できるようになりました。チャットボットなら本社の業務時間外でも簡単に欲しい情報を得られるため、店舗の業務が止まらずスムーズに進められるようになっています。
顧客からの問い合わせ対応支援と社員教育 – 株式会社稲葉製作所様
顧客からの問い合わせ対応支援や社員の教育にチャットボットを使っているのが、株式会社稲葉製作所様です。
製品情報が複数のカタログやマニュアルにまたがって記載されており、お客様から製品関連の質問を受けた営業社員が情報を見つけられず、すぐに回答できない事案が多発していました。
チャットボットを導入すると、チャットボットを使ってお客様からの質問に即時回答できるようになりました。また、新入社員が製品知識を習得するツールとしても活用することで、育成担当の工数削減にもつながっています。
住民から寄せられる問い合わせへの対応 – 沖縄県沖縄市
自治体では、住民から寄せられる問い合わせ対応にチャットボットが使われています。
沖縄県沖縄市では、受付時間外でも問い合わせに対応できるよう、チャットボットを導入しました。チャットボットの起動回数の40%が受付時間外というデータもあり、ニーズの多さを実感しているとのこと。また、多言語自動翻訳機能も活用し、英語や中国語の問い合わせにも自動で対応しています。
チャットボットの導入事例は資料にもまとめているので、ぜひ下記から無料ダウンロードの上ご覧ください。
チャットボットツールの選び方

チャットボットツールは多くのベンダーが提供しており「選んだツールが自社に合わなかった」という失敗も多くあります。
自社の目的を達成するためのチャットボットツールを選ぶには、次のポイントを押さえておきましょう。
- 種類
- 自社の課題解決に必要な機能の有無
- 費用
- サポートの有無
詳しくは下記の記事で紹介しています。
| 【合わせて読みたい】 ・導入前に知っておきたいチャットボットツールの選び方|導入企業の選定ポイントも紹介 |
チャットボットのトレンドと展望
最近のチャットボットはAIの搭載が当たり前となり、ChatGPTと連携したものも増えてきました。AI技術の進歩で用途が広がり、さまざまな領域で注目を集めています
例えば「OfficeBot」は、AIチャットボット「OfficeBot」とChatGPTの強みを掛け合わせたチャットボットツールです。質問に対してOfficeBotが回答となる情報を探し、ChatGPTがわかりやすく要約して提示します。
PDFやWord、Webサイトを登録するだけで精度の高い回答ができるため、従来のAIチャットボットに必要だったFAQの作成は必要ありません。
このように、AI技術の進歩もあり、導入や運用に手間のかからないチャットボットツールが増えています。
今後は、これまでのチャットボットにはできなかった「個別の事案」にも対応できるツールの誕生が予想されており、医療現場での問診や悩み相談などにもチャットボットが使えるようになるかもしれません。
まとめ
チャットボットは、顧客からの問い合わせ対応や社内問い合わせ対応などに活用できるツールです。業務効率化や人件費の削減といったさまざまな効果が期待できます。
ただし、チャットボットの効果を最大限発揮するには、適切なFAQの作成や利用状況の分析が欠かせません。「チャットボットを導入したものの、思ったような効果が得られない」という失敗を避けるため、導入や運用のサポートを実施しているツールを選ぶのがおすすめです。
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