RAGを導入したものの「不正確な情報が混ざってしまう」「複雑な質問に対応できない」といった課題に直面していませんか?
こうした課題を解決するのが「Agentic RAG」です。Agentic RAGは、RAGとAIエージェントを組み合わせた仕組みです。AIエージェントが「どの情報を使うか」「さらに検索すべきか」を自律的に判断し、検証を繰り返して精度の高い回答を出力します。
本記事では、標準RAGの課題とAgentic RAGの仕組み・メリットを整理しました。RAGの精度を改善したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
Agentic RAG(エージェント型RAG)とは?
Agentic RAG(エージェント型RAG)は、標準RAGにAIエージェントの機能を加えた技術です。標準RAGが検索結果をもとに回答を作成するのに対し、Agentic RAGは情報収集から回答までを自律的に進め、より精度の高い回答を目指します。
例えば、データベースに情報が不足していても、Web検索や外部APIから追加の情報を取り込み、より正確な回答を出力可能です。また、複数の条件を含む複雑な質問に対しては、AIエージェントが条件を分解し、複数の情報源を突き合わせることで精度の高い回答を返せます。
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Agentic RAGの仕組み
Agentic RAGは、ユーザーから質問を受けると「考える → 行動する → 観察する」というサイクルを自律的に繰り返し、段階的に回答の精度を高めます。
最初の検索で得られたデータが不十分な場合は、Web検索や外部APIを利用して追加の情報を集め、複数の資料を照合。自己検証と改善を重ね、より正確な回答を提示できます。
▼Agentic RAGが自律的におこなうこと
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標準RAGは「情報を探して答える仕組み」にとどまりますが、Agentic RAGは「状況に応じて最適な方法で情報を収集・活用する仕組み」へと進化しています。
標準RAGにおける3つの課題
Agentic RAGを理解する上で、まずは標準RAGの課題を整理しておきましょう。具体的には、次の3点が挙げられます。
- データベースの情報を検証できないため誤答のリスクがある
- 複雑な質問や文脈を正しく理解できない
- 参照できる情報源が限られている
課題1.データベースの情報を検証できないため誤答のリスクがある
標準RAGには、誤った回答を出力するリスクがあります。
データが古かったり、回答の根拠となる情報が登録されていなかったりすることが主な原因です。標準RAGは、登録済みのデータベースをもとに回答を生成する仕組みで、外部の情報源を参照できないため、不足している情報を補うことができません。
また、データベースが整理されていないことが原因で、回答の答えとなる情報を見落としたり誤って抽出したりするケースもあります。
RAGの回答精度を高めるためには、回答元となる最新のデータを登録しておくことが不可欠です。加えて、データベースを「製品名」「価格」「仕様」といったカテゴリごとに整理することが望ましいです。
課題2.複雑な質問や文脈を正しく理解できない
標準RAGは、質問の文脈や条件を正確に捉えるのが苦手で、ユーザーの意図を十分に反映した回答を生成できないという課題があります。
まずは、質問の本質となる意図を正しく理解するのが難しい点です。
標準RAGは質問文に含まれる一部のキーワードだけに反応し、ユーザーの本来の意図に沿わない回答を返してしまうことがあります。
| 【例】「過去に購入した製品の価格を知りたい。できれば最新の割引情報も知りたい」と質問した場合 標準RAGは「最新の割引情報」だけを返し、本来の目的である「過去の購入価格」を無視することがある |
次に、複数条件を同時に満たす回答を生成できない点です。
提示された条件を網羅的に処理するのが苦手なため、複数条件のうち一部の要素しか拾えず、答えが不完全になってしまうことがあります。
| 【例】「製品AとBの価格を比較し、その中で在庫があり、翌日配送が可能なものを教えて」と質問した場合 標準RAGは「価格情報」だけを答え、在庫や配送条件を考慮できない |
課題3.参照できる情報源が限られている
標準RAGは基本的に1つのデータベースを検索対象とする仕組みで、参照できる情報源は限定的です。
社内データベースに回答の根拠となる情報が欠けていると、正確な回答は難しくなります。
| 【例】法改正や市場調査など最新の外部情報を検索したい場面 標準RAGは対応できず、誤答や不十分な回答につながるおそれがある |
また、扱える情報の形式にも制約があります。
マニュアルや報告書などの社内資料の中には、表や画像を含むものも多いため、標準RAGの読み取り精度が低いと、情報を正しく処理できません。
| 【例】製品仕様の比較表が画像で保存されている場合 正確に情報を読み取れず、正しい比較結果を導けないケースがある |
| 【合わせて読みたい】 ・RAGで期待した精度が出ない原因とは?課題と解決策を徹底解説 |
Agentic RAGを導入する3つのメリット
Agentic RAGの導入は、標準RAGの弱点を補い、回答の正確性と適用範囲を広げます。
ここからは、具体的な導入メリットを解説します。
- 検索結果の検証により、精度の高い回答が得られる
- 条件を判断して、複雑な課題も柔軟に対応できる
- 複数の情報源を横断することで、必要な情報を正確に見つけられる
メリット1.検索結果の検証により、精度の高い回答が得られる
標準RAGは、登録済みのデータベースを前提に回答を生成します。もし古い情報が更新されずに残っていると、誤った内容を返してしまうおそれがあります。
Agentic RAGは、検索結果を評価し、情報が不足していれば再検索や別の情報源を参照する仕組みです。こうした「自己検証と改善のサイクル」によって、回答の正確性と信頼性を大幅に高められます。
メリット2.条件を判断して、複雑な課題も柔軟に対応できる
標準RAGは、質問文に含まれるキーワードだけに反応してしまい、文脈を正しく理解するのが苦手です。複数条件を含む質問では一部の要素しか拾えず、ユーザーの意図に沿った回答を返せません。
一方、Agentic RAGでは、AIエージェントが「どの情報源を優先すべきか」「追加検索をおこなわなければならないか」を判断します。複数の資料を突き合わせながら回答を導くため、より複雑な課題にも対応できます。
例えば、契約条件を複数の文書から照合したり、製品の価格・在庫・配送条件を同時に比較したりといった作業も可能です。
メリット3.複数の情報源を横断することで、必要な情報を正確に見つけられる
標準RAGは、データベースに該当情報がない場合、誤った回答や不十分な回答を返すことがあります。
これに対しAgentic RAGは、AIエージェントが「この質問にはDBだけでなくWeb検索や外部APIも参照すべきか」を判断し、複数の情報源を横断的に活用して回答します。
【例】
- 社内マニュアルにない最新の法改正を、Web検索で補完する
- 市場データを外部APIから取得し、社内データと突き合わせる
次の表で、両者の違いを整理します。
| 項目 | 標準RAG | Agentic RAG |
|---|---|---|
| 仕組み | ・外部データベースをLLMにつなぎ、検索結果をもとに回答を生成する仕組み ・質問に対して関連情報を引き出して回答を補強する | ・RAGに「AIエージェント」を組み込み、情報探索や判断を自律的におこなう仕組み ・複数の情報源やツールを使い分ける |
| 情報源 | ・単一のデータベースに接続して情報源を探す ・データベースにない情報は参照できない | Web検索・社内DB・外部APIなど、複数の情報源を検索できる |
| 問題解決の方法 | ・一度の検索で答えを出す ・ユーザーからの複雑な質問や文脈理解に弱い | ・マルチステップで推論し、情報を突き合わせながら答えを出す ・追加検索や情報源の切替もできる |
| 回答の精度 | 検索結果をそのまま利用するため、誤情報を検証できず、そのまま回答するリスクがある | 検索結果を評価し、再検索や情報の照合をおこなうことで正確性・信頼性を高める |
| マルチモーダル | 主にテキスト情報を取得する | 画像や音声など、テキスト以外のデータからも情報を取得できる。 |
このように、Agentic RAGは自律的な判断と複数情報源の活用により、標準RAGを上回る精度と柔軟性を実現します。
例えばAgentic RAGと同じような仕組みで動いているAIエージェントツール「OfficeAI社員®」は、入力された質問や指示に対して、AIが自律的に動いて情報探索や質問者へのヒアリングを実施し、適切な回答を提示します。
テキスト情報だけではなく、画像・図・グラフなどの情報も読み取れるため、既存の資料を有効活用できる点も強みです。
OfficeAI社員®に興味のある方は下記より詳細をご覧ください。
国内のAgentic RAGサービス2選
国内でもAgentic RAGを取り入れたサービスが登場しています。
- SAT Agent Cockpit|ストックマーク株式会社
- Agentic RAG(dona-rag-2.0)|株式会社GFLOPS
SAT Agent Cockpit|ストックマーク株式会社

出典:Stockmark
「SAT Agent Cockpit」は、ストックマーク株式会社が提供するAgentic RAG搭載の新サービスです。
従来のRAGは「質問 → 検索 → 回答」で1回完結しますが、このサービスではAIが「考える → 行動する → 結果を確認する」のサイクルを繰り返します。こうした仕組みによって、より精度の高い回答を導き出せます。
▼解決できる課題経営層
- IT部門:導入や運用にかかるコストを抑えられる
- 現場ユーザー:専門知識がなくても業務に即した使い方が可能になる
- 実務担当者:回答精度や専門性への不安を解消できる
Agentic RAG(dona-rag-2.0)|株式会社GFLOPS

出典:AskDona
「Agentic RAG(dona-rag-2.0)」は、株式会社GFLOPSが提供するRAGをアップデートしたサービスです。
ユーザーからの質問を複数のサブクエリに分解し、AIエージェントが自律的に情報を探索・統合する仕組みを備えています。曖昧さや複数条件を含む質問にも対応でき、人間の調査に近い形で網羅性と精度の高い回答を生成できます。
▼強み
- SaaS型のプラットフォーム「AskDona」の機能として利用できる
- 資料をアップロードするだけで、高精度かつ網羅的な回答を得られる
- 用途ごとに特化したAIエージェントを用意できる
まとめ|RAGの精度改善はAgentic RAG
Agentic RAGは、AIエージェントが「どの情報源を使うか」「さらに検索すべきか」といった判断を自律的におこない、状況に応じて検証を重ねる仕組みです。従来型のRAGでは対応が難しかった課題を解決できるのが最大の特長です。
例えば、複数条件を含む複雑な質問に対応したり、Web検索や外部サービス(API)を組み合わせて回答を導き出したりといった、高度な活用につなげられます。
RAGの精度に課題を感じているなら、Agentic RAGを基盤とした「OfficeAI社員®」の導入を検討してみませんか?
OfficeAI社員®は、複雑な質問にも自律的に対応し、利用者の疑問解消や情報収集に貢献します。テキストだけでなく、表や画像を含む資料も正確に読み取れるため、既存の社内資料を登録するだけで利用可能です。
「不正確な回答を減らしたい」「曖昧な質問にも対応できるようにしたい」とお考えの方は、ぜひ下記より詳細をご覧ください。







