生成AIは金融機関でどう使われている?導入の実態と押さえておきたい注意点

生成AIの導入が急速に進む中、金融業界でも「自社でどう活用すべきか」を模索する動きが広がっています。議事録の作成やFAQ対応の自動化、営業資料の作成支援など、業務効率化を目的とした活用は着実に進んでいます。

一方で、誤情報を含む回答が顧客対応に影響を及ぼすリスクや金融犯罪への悪用といった懸念から、導入に慎重な姿勢をとる企業も少なくありません。特に、金融商品や契約にかかわる情報の取り扱いでは、正確性や信頼性が求められます。

本記事では、国内金融機関の導入状況や実際の事例をもとに、生成AIの導入メリットと注意すべきリスクについて、わかりやすく解説します。

目的別チャットボット15選比較表

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金融業界の生成AI導入状況|活用状況と最新動向

生成AIの導入は、一部の企業だけの話ではなく、すでに多くの金融機関で進められています。このセクションでは、金融業界における導入の広がりや、活用パターンを紹介します。

金融業界の生成AI導入状況

金融庁の調査によると、9割以上の金融機関が従来型AIまたは生成AIを導入しています。特に生成AIは、学習済みモデルを手軽に活用できる点から、従来型AIよりも導入率が高いのが特徴です。

また、約7割の金融機関が一般社員による生成AIの利用を許可しており、申請制による活用や利用範囲の限定など、各社が運用ルールを工夫しながら活用しています。

導入形態としては、ChatGPTなど汎用型生成AIをそのまま活用している企業が約半数にのぼります。

出典:金融庁「~金融分野におけるAIの健全な利活用の促進に向けた初期的な論点整理」

一方、RAG(検索拡張生成)やファインチューニングを用いて、社内データと連携させたカスタマイズ利用を進める動きも活発です。

社内データと連携させることで、

  • 社内のナレッジ検索
  • ドキュメント作成の精度向上
  • 業務の自動化

など、生成AIの活用範囲は広がっています。

出典:金融庁「~金融分野におけるAIの健全な利活用の促進に向けた初期的な論点整理」

金融業界で進む生成AI活用のパターンと特徴

金融業界では、主に3つのケースで生成AIが使われています。

  1. 社内業務効率化
  2. 対顧客サービスへの間接活用
  3. 対顧客サービスへの直接活用(限定的)

現状では、社内業務の効率化を目的とした活用が中心ですが、対顧客サービスでの活用の動きも見られています。

ただし、生成AIにはハルシネーション(誤情報の生成)などのリスクが伴う点に注意が必要です。顧客との直接的なやり取りに用いるケースにおいては、当面限定的な活用にとどまると考えられます。

出典:金融庁「~金融分野におけるAIの健全な利活用の促進に向けた初期的な論点整理」

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金融機関が生成AI導入で得られる3つのメリット

生成AIは、対話生成や文章要約といった汎用的な活用にとどまらず、顧客の取引パターンをもとにした不正検出・セキュリティ強化や、市場データの履歴を活用したリスク予測など、より高度な領域での応用も期待されています。

とはいえ、先進的な活用はまだ発展段階にあり、現在実務での導入が進んでいるのは主に次の2つの分野です。

  • コンプライアンスチェックや監査対応の支援
  • 顧客一人ひとりに最適化された体験の提供

では、これらの実業務に生成AIを使うことでどのようなメリットがあるか、3つのポイントに整理して解説します。

  1. 業務効率化|文書作成や社内対応を自動化できる
  2. 営業成果の向上|対応速度と提案精度を高められる
  3. 顧客満足度の向上|対応スピードを高め顧客満足度を高められる

メリット1. 業務効率化|文書作成や社内対応を自動化できる

金融機関に生成AIを導入すると、定型的で繰り返し発生する業務を自動化でき、作業時間の大幅な削減が見込めます。

実際に活用が進んでいるのは、次のような業務です。

  • 議事録・稟議書・報告書などの文書作成
  • 資料の要約や要点抽出
  • 社内FAQへの自動応答

定型的な業務の負担が軽減されると、顧客対応や提案資料の作成、リスク分析といった付加価値の高い業務に専念しやすくなります。

また、生成AIはあらかじめ設定されたルールや構成に沿って処理をおこなうため、同じ条件のもとでは常に安定した出力結果を保ちます。そのため、担当者ごとのスキル差や処理件数の増加などの要因で精度が下がることもなく、結果的に品質の均一化、ヒューマンエラーの削減につながるのです。

こうした生成AIの特長は、規定類の照合業務にも応用されています。

信用金庫、信用組合、労働金庫といった協同組織金融機関では、連合会の規定と自社の規定の照合に手間がかかりがちです。生成AIに両方の文書を読み込ませれば、1回の検索で関連情報を整理・比較でき、コンプライアンスチェックの効率化につながります。 

メリット2.営業成果の向上|対応速度と提案精度を高められる

生成AIを活用すると、営業活動の効率化と成果の向上を実現できます。

生成AIによって、市場動向や顧客ニーズの分析、営業資料の作成といった営業業務を効率化できるため、見込み顧客の選定にかかる時間を短縮できます。対応の迅速化により営業件数そのものを増やせるようになり、営業活動の機会を拡大できる点は大きなメリットです。

また、顧客データや過去の商談履歴をもとに、提案資料の内容を自動でカスタマイズが可能に。個別のニーズに応じた提案がしやすくなり、成約率の向上だけでなく、クロスセルやアップセルのチャンス創出にもつながります。 

メリット3.顧客満足度の向上|対応スピードを高め顧客満足度を高められる

生成AIの活用は、金融機関における顧客対応の質を高め、満足度の向上につながります。

生成AI型のチャットボットを導入すれば、問い合わせ対応や各種手続きの案内を24時間体制で提供できます。営業時間外でも顧客の質問に即時対応できるため、待機時間の削減と利便性の向上を両立できる点が大きなメリットです。

さらに、AIは蓄積されたデータをもとに回答を生成するため、迅速かつ正確な情報提供にも強みがあります。ユーザーごとの状況に応じた案内や多言語対応など、より個別最適化されたコミュニケーションにも対応でき、顧客満足度の向上だけでなく、信頼関係の構築にもつながります。

生成AI型チャットボットの導入をご検討中の方は、「OfficeBot」の活用もおすすめです。

社内マニュアルやFAQをアップロードするだけで、高精度な自動応答を実現。生成AIの専門知識が無くても、生成AI型チャットボットをすぐに運用できます。

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国内金融機関の生成AI導入事例

生成AIの導入が進む中で、すでに具体的な成果を上げている金融機関も出てきています。

ここでは、実際に生成AIを活用して業務改善を実現している国内金融機関の事例を紹介します(敬称略)。

  • 呉信用金庫|OfficeBotの導入で問い合わせ対応削減
  • 新潟県労働金庫|AIdea Suite導入で幅広い業務効率化を実現
  • 大和証券|AIオペレーター導入で24時間対応と待機時間削減へ

呉信用金庫|OfficeBotの導入で問い合わせ対応削減

呉信用金庫では、営業店からの問い合わせに本部職員がその都度対応する必要があり、大きな負荷がかかっていました。日々の業務に着手している最中でも、電話には優先的に対応しなければなりません。

特に、問い合わせにかかわる規程を探し、その内容を適切に解釈するまでにかかる時間が課題となっており、問い合わせ対応全体で年間約20,000時間が費やされていました。

一度は対応策として、イントラサイト上に規程やマニュアル、FAQを配置し、文書検索が可能な仕組みを整備しましたが、

  • どの規程を見ればよいかわからない
  • 検索しても欲しい情報にたどり着くまで時間がかかる
  • 結果が見つからない

などの理由で、現場の課題は解消されませんでした。

そこで、同金庫が導入したのが「OfficeBot」です。本部に寄せられる問い合わせのうち、規定に関する内容については、AIが自動で回答する仕組みを構築しました。

これにより、担当者が都度規定を開いて該当箇所を探し、解釈しながら回答内容を考えるといった一連の作業を省略できるようになりました。導入の前後を比べると、年間およそ4,080時間分の問い合わせ対応時間の削減が見込まれています。

また、各営業店においても、AIが即座に関連文書の該当箇所を提示するため、確認作業にかかる時間と手間の大幅な削減に成功しました。

現在は、預金業務や融資業務(経営者保証ガイドライン、不動産評価、M&A関連など)に加え、人事・総務・保険関連といった周辺領域にも対応範囲を拡大しています。

呉信用金庫の導入事例の詳細は、下記から資料をダウンロードしてご確認ください。

新潟県労働金庫|AIdea Suite導入で幅広い業務効率化を実現

新潟県労働金庫では、顧客の多様なニーズに応えるため、生成AIを活用したDX推進を検討していました。

しかし、適切な情報管理や社内文書・データの取り込み方法に課題があり、生成AIの導入にはいたらず。加えて、数百に及ぶ規程やマニュアルが存在し、職員が目的の情報を探すのに時間がかかる点も課題となっていました。

この課題解決のために、まずは生成AIソリューションの「AIdea Suite」を本部で先行導入。回答の正確性や業務上の効果を検証した上で全部署・営業店へ展開する段階的な導入方針が採用されました。

導入に際しては、行内の規定・マニュアルなどの内部文書をAIdea Suiteに登録し、職員が迅速に必要な情報を取得できる環境を整備しました。セキュリティ要件を満たすクローズドな環境で運用し、情報漏えいリスクにも対応しています。

さらに、プロンプト設計やモデルパラメータの調整により、柔軟かつ多様な回答生成を通じて、実務における有用性も確認されました。

AIdea Suite導入後は、全部署・営業店で生成AIを活用する体制が整い、情報検索・資料作成・アイディア出しといった幅広い業務で効率化が進みました。また、職員からは「生成AIにふれる機会が広がった」との声が上がっています。

【活用事例】

  • リスト金融商品(iDeCo、NISAなど)に関する情報提供と説明
  • 融資に関する手続きの確認
  • 顧客向けセミナーの内容作成
  • コンプライアンスやリスク管理の知識の提供
  • 休暇や勤務制度に関する職員からの質問への回答
  • メールや挨拶文の作成
  • 教育用資料の作成支援

新潟県労働金庫の導入事例の詳細は、次のリンクからご確認いただけます。

大和証券|AIオペレーター導入で24時間対応と待機時間削減へ

大和証券では、顧客対応の質向上と待機時間の削減を目的に、コンタクトセンター業務の一部に生成AIを活用する取り組みを開始しました。

投資に対する関心が高まり、問い合わせ件数が増加するなか、オペレーターだけではすべての問い合わせに対応しきれず、顧客を長時間待たせてしまうリスクがありました。

人員の拡充も選択肢のひとつではあるものの、採用や育成には一定の時間がかかるため、根本的な課題の解決にはつながりません。そこで、業務の一部にAIを導入し、オペレーターが複雑な問い合わせ対応に集中できる体制づくりを目指しました。

システムの開発には、MicrosoftのSpecializationパートナーであるヘッドウォータースと連携し、Azure OpenAI Serviceを活用した大和証券オリジナルののAIオペレーターを構築。複数のAzure AIサービスを組み合わせ、自社の問い合わせ業務に最適化された設計となっています。

  • Azure AI Speech Service: 電話音声のテキスト化に対応
  • 外部API: マーケット情報をリアルタイムで取得
  • Azure AI Search: FAQや社内ナレッジから必要情報を検索

加えて、マーケット情報やFAQ、入出金手続きといった複数のAIエージェントを組み合わせたマルチエージェントシステムを採用。FAQ対応にはRAG(検索拡張生成)を導入し、正確かつ迅速な回答を実現しています。

これら生成AIの導入により、現在は1日あたり数百件の問い合わせに対し、エラーは数件程度にまで減少。コールセンター現場からは好意的な反応が寄せられ、業務効率化に対する期待が高まっています。

ただし、AI導入の効果を実感できる段階にはまだいたっていません。今後は対応可能な問い合わせの幅を広げるとともに、AIオペレーターの機能強化を進めていく方針です。

参考:大和証券、「AIオペレーター」開発 金融機関では異例のAI活用 半年間のプロジェクトを追う

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金融業界の生成AI導入で注意すべき4つのリスク

生成AIは業務の効率化につながる有力なツールですが、導入や運用にあたっては慎重な姿勢が求められます。特に金融業界では、情報の正確性や安全性、そして社会的な影響への配慮が不可欠です。

このセクションでは、金融機関が生成AIを導入する際に知っておきたい4つの主なリスクを整理します。

  1. ハルシネーション(誤情報生成)のリスク
  2. セキュリティ・情報漏洩のリスク
  3. 公平性・バイアスのリスク
  4. 金融犯罪・詐欺への悪用リスク

ハルシネーション(誤情報生成)のリスク

生成AIには、もっともらしい誤情報を生成してしまう「ハルシネーション」のリスクがあります。見た目には正確に見える回答であっても、実際には誤った内容が含まれているおそれがあり、注意が必要です。

【リスクの例】

  • 生成AIによって作成された誤情報が含まれている回答を顧客が信じ、投資判断や金融商品の選択をおこなったために損失を被る
  • 金融機関内部でのリスク評価や意思決定において誤情報が用いられた結果、リスクテイクやリスク管理に誤りが生じ、自社の経営や金融システムの安定性、さらには顧客の利益保護にも悪影響を及ぼす

対策としては、生成AIの回答をそのまま顧客へ提供せず、人間による確認(Human in the Loop)を前提とした運用をおこなうことが不可欠です。

また、RAG(検索拡張生成)を活用し、回答時に参照元を明示する仕組みを取り入れ、根拠の裏付けを確認できるようにしましょう。

セキュリティ・情報漏洩のリスク

金融機関は、顧客の個人情報や資産状況、口座の入出金データなど機密性の高い情報を日常的に扱っています。生成AIを活用する際に十分なセキュリティ対策を講じなければ、情報が漏えいするリスクは避けられません。

【リスクの例】

  • 顧客の個人情報や資産状況、取引履歴といった重要な顧客情報をAIに直接入力した場合、情報が外部に漏れる
  • 漏えいした情報から、顧客の資産状況や企業の資金繰り、経営状態などを外部から推測される

まずおこなうべき対策は、データセキュリティやプライバシー保護の観点から、社内システムからChatGPTなどへの直接アクセスを禁止し、IT企業と連携して自社仕様に開発したAIシステムを導入することです。

加えて、

  • 社外からアクセスできない安全なネットワーク環境でAIサービスを運用する
  • アクセス権限を適切に管理する
  • 利用履歴をログで監視する

といった、基本的なセキュリティ対策も忘れてはいけません。

また、情報漏えいは従業員の行動から発生するケースも多いため、個人情報や機密情報を生成AIへ入力しない運用ルールを徹底することも大切です。システムによって顧客情報の入力を制御することもできます。

公平性・バイアスのリスク

生成AIは、学習データやアルゴリズムの特性によって、特定の属性を持つ顧客や社員への対応に偏りが生じ、公平性を欠いた判断をおこなうリスクがあります。

【リスクの例】

  • AIを活用した個人向けローンの審査において、性別や人種、移住地などの属性によって借入条件が変わり、本来融資を受けられる人が不当に除外される

生成AIの出力に対して公平性を担保するためには、外部ベンダーが提供するバイアス検知ツールを活用することが効果的です。

そのうえで、テスト運用時に生成AIの出力結果を分析し、偏りがないかを確認・改善を重ねましょう。バイアス検知と対処を継続的におこなうための評価指標や監査プロセスの構築も必要です。

金融犯罪・詐欺への悪用リスク

生成AIの高度化により、自然な文章や音声、画像、動画の生成ができるようになり、詐欺行為の手口はますます巧妙化しています。生成AIは利便性を高める一方で、悪用されるリスクも高まっており、金融機関や顧客が被害を受けるリスクが拡大しています。

AIガバナンスやコンプライアンスの観点からも看過できない課題となっており、業界全体での継続的な対応が必須です。

【リスクの例】

  • 生成AIで作成されたフィッシング詐欺メールにより、顧客が正規の連絡と誤認し、不正送金などの被害を受ける
  • ディープフェイク技術で生成された偽の画像や動画が拡散され、誤解や混乱を招き、金融市場の動揺や株価の急変といった影響を及ぼす
  • 本人確認(KYC)をすり抜けるような偽装がおこなわれ、マネーロンダリングや不正口座の開設につながる

これらのリスクを避けるためには、生成AIの不正利用を検知するモニタリング体制を構築し、AIを活用した不正検知・トランザクション監視体制を整備することが効果的です。

また、多要素認証など認証プロセスの強化も多くの企業で進められています。

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まとめ|生成AIで金融機関の業務効率化とサービス向上を実現しよう

金融業界でも、生成AIは業務効率化やサービス品質の向上を支える手段として、着実に実務への導入が進んでいます。議事録や提案資料の作成、社内外の問い合わせ対応など、日常業務のさまざまな場面で活用が広がりつつあります。

一方で、

  • ハルシネーション(誤情報の生成)
  • 情報漏洩
  • 公平性の欠如
  • 詐欺への悪用

といったリスクも無視できません。

特に、社会的責任の大きい金融機関においては、これらのリスクを丁寧に見極めた上で、段階的かつ慎重に導入を進めていく姿勢が求められます。

本記事で紹介した事例やリスク対策を参考に、自社の業務特性や体制に合った活用方法を検討してみてください。

社内外の問い合わせ対応やナレッジ共有の効率化を図りたい場合は、「OfficeBot」の導入も選択肢のひとつです。OfficeBotなら、生成AIの専門知識がなくても、社内文書やFAQをアップロードするだけで、社内外の問い合わせ対応を自動化できます。

詳細は下記よりご確認ください。

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